フィリピンと日本の比較(経済と貧困)
出生率は東南アジアNo.1
経済成長が著しいアジアの中でも特に注目を集めているのがフィリピンだ。その理由の一つが、経済の成長率だ。フィリピン(12位、1億572万)人口は、JETROのHPによれば2014年には1億人を突破した。その出生率は3.08人と、東南アジアで最も高い数字を誇る。僕のフィリピンの友人はいとこが30人いることも珍しくない。何より若い世代で構成されているのが最大の強みだ。全国民の平均年齢は、約23歳。つまり生産年齢人口が、圧倒的に多いというわけだ。2023年には日本(10位、1億2725万人)人口を超える。
日本の平均年齢 46歳
フィリピンの平均年齢 23歳
これだけ生産年齢の人口が多いのであれば、たくさん雇用が生まれて国は急成長するのでは?
日本は高齢化が進み、労働者不足に陥り経済が鈍化している暗いニュースばかりだが、それに比べてフィリピンは急激に成長している国の一つだ。そしてこれがフィリピンのビジネス街マカティ、いわゆる東京でいう銀座や東京駅にあたるだろう。
フィリピンむちゃくちゃ発展してる!僕はフィリピンに着いた瞬間大興奮。イメージの10倍くらい発展してるぞ、と。街は本当に若い人ばかりで活気に溢れている。
しかし、これはフィリピンのごく一部にすぎない。一般庶民はここに近寄ることすらないのだ。主に外国人労働者や富裕層が住むエリアとなっており、物価は現地相場の3倍から5倍はする。ビシネスビルや、ショッピングモール、シャネルやルイヴィトンなどのショップが立ち並ぶ。街も綺麗で治安はかなり良い。
貧富の格差が大きい
確かにフィリピンは急成長しているが、その陰では貧富の差が拡大していることも問題だ。僕は、バセコというフィリピンの中でも特に貧困な層が住むエリアをボランティアで訪問した。人数は僕とスタッフの2人だった。フィリピンは5000以上の島から構成されている。それらの島から今よりも良い暮らしを望み、首都マニラを目指した人々が、悪く言えば勝手に映り住んだエリアだ。しかし、実際には職に就けず、1日1ドル以下でのかなり貧しい生活をしている。
この街にはほとんど足の踏み場はない。あたり一面がゴミで敷き詰められており、悪臭と無数のハエがたちはだかる。子供たちは靴を買うお金がないので裸足で走り回っている。もしガラスを踏んで足を出血した場合は細菌が体に周り、死に至ることもある。危険はそれだけではない。デング熱や、狂犬病、台風で雨風が強い日は隣の海が増水し、吹き飛ばされる。
僕はスタッフに尋ねた。なぜ彼らはこのような生活を強いられてもなお、自分の島に帰らないのか。どうやら自分の島にいるよりもここにいる方がマシな生活が送れるからという理由だそうだ。
僕はこのバセコで、これまでの人生の中でも衝撃的な体験をした。ここに来るまでは、(彼らは貧しい生活を強いられて不幸に違いない、何か自分にできることはないか)と傲慢とも言えるようなイメージで訪れていた。しかし、実際は違っていた。彼らは本当によく笑い、フレンドリーだ。ゴミだらけの海を気持ちよく海水浴したり、子供も大人もビリヤードや昔のインベーダーゲームをして楽しむ姿は幸せそうに見える。このような姿はまさにカルチャーショックだった。
確かに考えてみれば当たり前の話かもしれない。今のバセコの人と石器時代の人、どちらが貧困かと問われればおそらく石器時代の人々だ。では、石器時代の人々が不幸だったかと問われれば疑問だ。幸せな人もいれば、不満があった人もいただろう。僕はこのような体験から確信したことがある。お金と幸せは必ずしも相関関係にない。
バセコの人々は、彼らの生活の範囲内で充分に人生を楽しんでいる、少なくとも僕の目にはそのように映った。それに比べて(日本人はどうだろうか)と考えさせられた。
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